債務整理手続に関するQ&A
借金及び債務整理、過払い請求等々、昨今、よく耳にする言葉となっておりますが、ご相談される方々がそれを勘違い、あるいは一部分しか理解さていない場合も多々あります。ご依頼者の理解が深まることで、こ相談の際には、更に意思の疎通が計れます。大枠的なQ&Aですが、ご参考になって見て下さい。
債務整理とは、(1)任意整理、(2)自己破産、(3)個人再生、(4)特定調停、(5)過払い金請求の総称を指します。
どの手続きを選択するかは、相談者の収入、家計状況等々を勘案して、依頼先事務所が判断し、提案するのが通常です。
なお、既に完済した契約分だけ、貸金業者、信販会社に対する請求する場合は、(5)過払い金請求といいますので、借入残高(ショッピング残高含む)を残っている状態では、「過払い請求」とはいいません。
裁判所を介さない、私的な借金整理を指します。依頼先事務所では、各債権者に対して個別に債務あるいは過払い金額を決定し、その決定額で清算します
およそ、収入(扶養家族が多い、収入が不安定あるいは乏しい、働けない事情があるなど)に比して、返済額が過大となる場合には、自己破産が有効です。
裁判所を介して、支払い不能であることの認定と破産債権(借入金等)を免責(免除)することの2本建ての機能を併せもった民事手続きです。 なお、「破産などもってのほか」と任意整理や特定調停に誘導する「マニュアル販売」サイトが多く見受けられますが、以下に破産法のほんの一部を抜粋して掲示します。破産法が何を目的としているのか垣間見ることができます。
(参考)破産法
(目的) 第1条
この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
(定義) 第2条 11号
「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態
(a)任意整理では、返済しきれないほど残債務があり、(b)自己破産では、社会的体面や精神的側面あるいは、住宅を失いたくないなど、様々な理由によりこの手続きが非常に有効なケースが多々あります。
裁判所を介して、支払い不能のおそれがあり、再生手続きに沿って圧縮された債務額を継続して返済できる可能性があることを認定することにより、大幅な債務圧縮による民事手続きです。個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があり、両者間には、一長一短があります。
任意整理では、返済額が多額となる場合には、は非常に有効であることは、最初に申し上げました。しかしながら、今般、「過払い」ばかりを誇張し宣伝するだけの事務所が存在することも事実です。
既に任意整理をして、返済中の方で、(再生が不適切との)理由も明確にされずに、収入に見合わない高額な返済を強いられている方の相談を受け、任意整理から個人再生に移行した事例が、当事務所でも、最近、数多く見受けられます。
(目的) 第1条
この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
(手続開始の要件等) 第221条
個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額を除く)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続を行うことを求めることができる。
特定調停は、借金等の債務の返済を続けることが難しくなった方が、生活の建て直しを図るために、返済方法などを債権者と話し合うために裁判所を介して話し合いを進める民事調停の特例です。
よって、任意整理の裁判所仲介版と言えます。債務者個人が特に専門家に依頼せず解決する手段として有効かつ低廉といえます。なお、調停も債務名義という、いわば判決と同等の効力があるため、注意が必要です。
(a)収入印紙 債権者1社あたり500円程度
(b)郵便切手 連絡用に3~4千円程度
(1)いゆゆる貸金業者が融資する際の基準にした「出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締に関する法律」(以下「出資法」)では、平成18年12月の改正までは、29.2%を超える利息を取らなければ罰せられなかった。(改正後20%が上限)
(2)民事上有効となる上限利率を定める「利息制限法」では、
元本10万円未満・・・年20%
~100万円未満・・・年18%
100万円以上・・・・年15%
(1)(2)の金利差の範囲をグレーゾーン金利といいます。
Q6で生じた金利差であるグレーゾーン金利(つまり支払いすぎた利息)部分を元金に充当し続け、その後、残元金までが0円となります。これ以後の支払いは、(払う借入残すら無い)払いすぎ=過払いに転じていきます。
この払いすぎのお金を取り戻す請求を過払い金(返還)請求といいます。おおむね、7~8年程度継続して利用している場合、仮に残金が限度額上限まで残っていたとしても、残債務0円付近まで減少されている傾向にあります。
なお、単にグレーゾーン金利で借りていれば、即、「過払い請求」というのは、誤解の元です。つまり、借入残を現状そのままにして、グレーゾーン金利部分のみを返還請求することはできないからです。理由を説明すると数的ロジックの説明となりますので、省略しますが、当サイトの別ページで図表にて説明していますので、そちらをご欄下さい。
ブラックリストとは一体何をさすのでしょうか?
この正体は、主に以下の3団体の加盟店(銀行・信販会社・貸金業、等々)が契約情報及び貸付・入金データを随時更新することで成立しています。
(a)株式会社日本信用情報機構(JICC:ジック) https://www.jicc.co.jp/
(b)株式会社シー・アイ・シー(CIC) https://www.cic.co.jp/
(c)全国銀行個人信用情報センター(全銀協) https://www.zenginkyo.or.jp/pcic/各社の「注意情報」「異動情報」に記載された場合、及び全銀協では、JICCやCICの情報交流(CRIN)を行っているので、それが記載された場合、その情報データについて「ブラック」あるいは「ブラックリストに載る」といいます。
例えば習い事教室、フィットネスクラブ、あるいは自動車のETCなど、カード決済を随時、使っていれば、上記加盟店の属する信用情報機関のデータが毎月更新されるのであるっという・・・・というのが本来的な目的と言えるのです。